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ジビエのある暮らし🍖




猟期前に空にした冷凍庫(200L)にどんどん獣肉が補充されていき、また1年間日々美味しいジビエが味わえることに嬉しさ、感謝の気持ちが込み上げてきます☺️ 


大型獣(シカ、イノシシ、クマ)の成獣であれば5〜6頭(個人差あり)捕獲することができれば1年間ほとんどお肉を買わなくても済み、脂ののった今の時期に集中して捕獲・確保しています。豪雪地域では積雪後は格段にエサの採取が難しくなるため痩せていく一方で、雪がしっかり積もる直前が最も肥えるタイミングとなる個体がほとんどです。日々食べるものなので、おおよそ1食分に切り分け、ラップに包んで…という作業を獲れるたびに夜な夜な行い大切に保存・消費しています。


獣肉にネガティブなイメージを持っている方はまだまだ多いかもしれません。その要因は①臭い ②固いというイメージがどこかですりこまれてしまったからでしょうか? 運が悪ければ実際にそのようなお肉に当たってしまうこともあり、人によってはトラウマになってしまうかもしれませんね😅


ですが、適切な処理をすれば絶対にそのような状態のお肉にはなりません。せっかくいただくお肉(命)ならば、できる限り美味しい状態に仕上げられるよう努力することも狩猟者の務め。勉強を重ねた結果、ありがたいことに4年前くらいから捌いたお肉は1度も臭い・固いと言われたことはなく、逆に「言われないと獣肉だと気がつかない」とか、中には「獣臭が全くなくてもの足りない」という人も(贅沢言うな〜🤣)。


まだまだ勉強中ではありますが、臭い・固いお肉にならないように現時点で大切にしていることは以下になります。

(あくまで個人の現時点での考え手法です)


①臭い

雑菌を繁殖させないことが最も重要です。基本亡くなる前のお肉は菌に汚染されていない状態です。ところが、命を奪う際にナイフで刺す、銃で打つなどして体内に到達する外傷を負った瞬間から雑菌が侵入してきます。この雑菌が繁殖することが臭いが生じる主たる原因だそう。しかし、雑菌の侵入は防ぎ用がないので、いかに繁殖活動を抑えるかがポイントになってきます。


●素早くしっかり血抜きをする

→できれば(最後まで抵抗してくる個体もいるため安全を確かめてから)心臓がまだ動いているうちに大動脈を切断する(心臓を刺す)。血自体が悪さをするわけではないが、大量に血液が残っていると血流にのって体の隅々まで菌が移動してしまう。


●体毛や解体に使用する刃物を洗えない場所で解体しない

→解体作業の中には体毛のある皮を割いたり、剥いだりする工程が含まれます(お腹を割く前にお湯で体を洗い毛穴を開かせ毛を全て抜く「湯むき」という方法もある)。実は体毛は排泄物よりも汚染されている(例えばイノシシはよく泥浴びをしますよね)とも言われており、その体毛に触れた刃物でお肉に触れる、または体毛がお肉に付着した場合、当然お肉は汚染されることに。まずしっかり体毛を洗い、刃物もこまめに洗い、100%は難しいですが体毛自体もお肉に付着しないように慎重に皮を剥ぐ必要があります。


●可能な限り早くお肉の温度を下げる(冷却)

→シカやイノシシの体温は人間よりも少し高い38℃程度。この暖かい温度は雑菌が繁殖するのに最適だそうで、逆に素早く温度を下げることで菌の繁殖力を格段に下げることができます。

今の時期、寒い地域で獲れたものは温度を下げやすいのでその点はこの地域は好都合。しかし、夏場や暖かい地域で獲れた場合は解体よりもまず冷却(処理施設がない場合は川や池の水に数時間浸けたり)を優先する必要があります。


②固い

これはずばり「精肉」をしっかり行い部位ごとの特性を理解することで解決できます。加えて死後硬直が解けてから精肉をするとなおよいです。


●精肉

解体の手順として皮を剥いだ後は大バラシ(後ろ脚、首などの大きな部位ごとに分ける)になります。基本的に体の外側や運動量が多い部位は固い傾向があり、例えば後ろ脚では5部位以上(外モモ、内モモ、シンタマ、スネ、シキンボなど)に分けることができますが、例えば最も固く筋の多いスネをシンプルに焼いて食べるとめでたく「固い」という印象を持たれてしまいます。ステーキで食べるならもともと柔らかく繊維の細かい内モモを。煮込み料理にはじっくり煮込む前提でスネを。ハンバーグなどミンチにするなら外モモをなど、まずしっかり精肉し、部位ごとの特性を活かして調理するとこで「固い」という印象を持たれることはありません。


●死後硬直からの軟化

動物は死んでから硬直が始まり、一般的に牛で48時間、豚で24時間、鳥で2~4時間後にそのピークを迎え、その硬直が解けて元の柔らかさになるまで牛で10日、豚で5日、鳥で半日かかり、シカは牛に、イノシシは豚に近い日数となるそう。実際に死後硬直中のお肉は持った時にピンと張ったような感覚がありますが、軟化が進んだものはでろんと垂れるような柔らかさでねっとりしていて熟成が進んだ印象です。また軟化が進むと確実に旨みが増します。よって環境や時間が許せば死後硬直が解けてから精肉し保存するのがベスト!


こうして育てたお肉はやはり思い入れがあるだけでなく、本当に美味しくて、それゆえにお肉を買う必要性も薄れてきますし、狩猟への意欲も増します。ただ、やはり想いだけでなく技術が伴わなければそのようなお肉を育てることはできず、自身もまだ勉強中ではありますが、狩猟(特に解体)の体験時にはお伝えできることは全てお伝えします!





また、野生動物たちは誰に餌を与えられるわけでもなく、自らの力で自然の中から木の実などを採取し成長してくれます。森が豊かである限りは命の環は巡っていき、例えば外国から輸入されてくる安いお肉のように、飼料の元となる農作物栽培のための森林開発や、地下水の大量消費など、自然環境にダメージを与える心配もありません。これはジビエだけでなく、山菜やきのこなど野生食材全般にも言えることですね。


だからと言ってもちろん獲りすぎることにも問題はありますが、捕食者がいない現おいて、人の関心が薄れてしまっている時点で個体数は減る要素はなく(病死などを除けば)、今では田畑を荒らす害獣のイメージがすっかり定着してしまいました。もちろん個体数調整のための駆除も必要だと思います。しかし、もとは日本人が農耕民族になるまでの1万年近く、そして現代においても一部の人間の生活を支えてくれている事実を踏まえ彼らに対し敬意を払い、改めて害獣ではなく益獣として敬う気持ちを持てなければ、野生動物との共生への道は見えてこないように思います。


と話が膨らんでしまいましたが、「美味しい」をきっかけに、たくさんの方にジビエやその他の野生食材も育んでくれる地域の豊かな自然やそれらを生かす山村の暮らしに興味を持ってもらいたいと思い、ガイドツアーでは積極的に「食」を入れ込むようにしています。ですが、ジビエに関しては年々お肉と向き合う中で、意外と知られていいないこの素晴らしい資源を地域のみなさんにも知ってもらいたいし、地域の自然を守っていくために地域外にも発信(販売)したいという想いが強くなってきています。獣肉を販売するためには保健所の許可がおりた「食肉処理施設」が地域になければいけませんが現状ありません。 


しかし、近い将来必ずやつくり小谷村発の美味しいジビエをたくさんの方に味わっていただきたいと思います。みなさまのお力添えをお願いすることもあるかもしれませんがその際はどうぞよろしくお願いいたします😃


そしてそんな未来も描きながら、応援してくださっている方(リピーターさんでもありスタッフでもある)と、この度関連する新たな取り組みとして面白いイベントを行います!ぜひご参加お待ちしております。




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