私たちが暮らしている小谷村(おたりむら)は、長野県の北西端、新潟県との境に位置し、北アルプス、妙高戸隠連山山麓の豊かな自然に抱かれた小さな谷あいの村です。
冬には2m近く雪が積もり、1年の3分の1は雪のある暮らしが続くため、動物も植物も春が待ち遠しく、春は暖かな日差しと、徐々に芽吹き野山に広がる新緑に心踊り、雪解け水によって大地が潤い良質な山菜を育みます。トチやフジ、ミズキなどの花が野山に咲き乱れる頃に、里では田植えのシーズンを迎えます。
たくさんお日様を浴びてぐんぐん草木が成長する夏は、人は草刈りや農作業に汗を流します。田んぼから聞こえるカエルの合唱、幻想的なホタルの光、手が届きそうなくらい大きな天の川はこの時期の風物詩。夏はとても短く、五穀豊穣などを願い、神様に祈りを捧げる夏祭りが終わるとすぐに秋がやってきます。
日に日に冬の気配が忍び寄る秋は、昼夜の寒暖差が大きいため、息を飲むような美しい紅葉が山々を彩ります。丹精込めて育てたお米や野菜、きのこや木の実といった山の恵みなど、たくさんの収穫物が食卓に並び、改めて土地への感謝の気持ちが込み上げてきます。木々の葉が落ちる頃、里では冬越しの準備が進められます。
降っては溶けてを繰り返す雪が根雪となる頃、里は景色も暮らしも雪に包まれ、長い冬が始まりを告げます。雪積もった裏山へ足を踏み入れば、そこはモノクロに近い景色と、静寂が広がる他の季節とはまるで別世界。雪上にはたくさんの野生動物の足跡を見つけることができ、その存在の身近さに気づかされます。人々は雪が降るたびに黙々と雪かきをこなし、保存しておいた野菜や山菜など山の恵みを大切に消費しながら春を待ちわびます。
そんな自然に寄り添った山村の暮らしは、都会のように便利でもないし、
山の変わりやすい天気のように思い通りにならないことも多いけれど。
だからこそ、日々自然の小さな変化に耳を傾けながら、時に耐え忍んだり、周りの人たちと
助け合ったり、生きる力や人の温かさ、言葉にできない豊かさが溢れていて、
毎日が特別で愛おしい。
おたり自然学校は、とある山村「小谷」を舞台に、訪れた人が元気になり、日常生活に役立つ
学びを得て、「明日を昨日よりも少し豊かに生きる」活力をお届けできるように、
いろんな人の笑顔や、暮らしを想像しながら様々な体験を企画・提供しています。
日帰りでも宿泊でも、田舎暮らし体験からキャンプまで。まずは楽しんでみることから
気軽に地域をのぞいてみませんか?